ZZR1100にGSXRのフロントを流用するためのステムシャフト製作その他のご依頼です。
(正確な年式は不明です)


↑左がZZR 右がGSXR シャフトの長さから形状まで全く異なります。

  


↑超々ジュラルミン7075で製作したシャフトです。
ベアリング間はZZRの寸法で、両端はGSXRに合わせました。
問題は三又アンダーブラケット圧入部の径が、
アンダーベアリングの内径より小さいため、
GSXRと同じストッパー形状にできない事です。
(今回は通常白アルマイト)

  

↑左 圧入直前の三又アンダーブラケットです。
何気に撮影しておりますが、実はハンドルストッパーを落としてあります。(手作業)
ストッパーはお客様ご自身で新たに取り付けるとの事です。

右のリングはアンダーベアリング下に配置させるものです。
ステムの長さうんぬんに関わらず、アンダーブラケット上にそのままベアリングを配置すると、
フレームヘッドパイプ下部と干渉する恐れがあるための配慮です。
この辺は元々の依頼事項にはありませんでしたが、
通販でのトラブルを防ぐためには必要な事です。


  


↑左 リングをセットしたところです。
それからアンダーブラケット側面に穴を開けてネジ切りです。
そこへ右のネジを入れてロックタイトで固定します。
(通常この作業は行わない)

  

↑ 右 先ほどのリング外側に純正ダストシールをセット。
そしてベアリング圧入です。(写真はレースが付いている状態)
純正でダストシールを使用している車種の場合は、
シールを省くと埃が入ってベアリングの消耗が早くなります。


  


↑ さあ問題のシャフトエンドです。
現状では圧入して側面からネジで止まっているだけで、
本当のストッパーの役目をはたしておりません。
厚さ3mmのワッシャーをストッパー代わりにして固定させます。
(フロントスタンド不可)

そこでちょっとおさらい!! ↓



↑ ステムシャフトと三又アンダーブラケットが共にスチールの場合は、
上の写真のようにノーマル状態で溶接されている物が多いです。



↑ しかし、
シャフトがスチール製であっても三又アンダーブラケットが鋳造品の場合は、
溶接ができません。
そこで大抵は上の写真左の様にCリング構造にするか、
シャフトそのものを段付きエンドにして、
三又アンダーブラケット圧入穴の段差(右写真)に引っ掛けて固定します。
(もちろんシャフトは圧入が前提です)
今回はそのどちらにも当てはまりません。

因みにジュラルミン2017Sや超々ジュラルミン7075は、
構造材としての強度には優れるものの溶接には不向きです、
一見上手く溶接できている様でも
実は内部にクラックが発生している可能性がありますので、
こうしたステムシャフト関連ではまず溶接しません。

  

↑ さてさて今度はトップブリッジの加工です。
アントライオン製のポストを取り付けて欲しいとの事ですが、
トップブリッジ裏からボルト1本止めタイプですので、
マスターキーシリンダーステーが邪魔になります。
かなり際どい位置関係でしたが、
余分な所をカットし、座面を整えてスプリングワッシャー&ロックタイト付きで固定します。
この作業に関しまして強度的な責任は持てませんが...

  


やっと完成です。
ここまで来るのにかなり時間がかかったのは言うまでもありませんね。