1.FZ400のスプロケットハブベアリングをステンレス製両面シールタイプに換装させ、
必要なくなったオイルシール部をきれいさっぱり取除く。
そしてアクスルカラーを○○mm短く加工。
2.チェンラインはFZ400の方が外側に○mmオフセットされているので、
スプロケットハブの追い込み加工をしてチェンラインを合わせる。
3.FZ400とFZ750はリヤスプロケットの互換性がないばかりか、
サイズもFZ400が520.FZ750が530と異なります。
そのため市販のスプロケットで520→530へコンバートさせる。
4.ホイールのセンターを出すために1.の加工をして配置するわけですが、
FZ400のノーマルスタッドボルト&ロックナットでリヤスプロケットを固定すると、
ナットのサイズが大きい分、スイングアームとのクリアランスが少なくなります。
そこでISAの薄型ステンボルトを使用してワイヤーロックとします。
5.ブレーキローター、キャリパー、サポートは当然FZ400を使用しますが、
そのままのサイズではどうあがいてもスイングアームに収まりません。
そこでホイールハブを加工してローターを内側に○mm追い込むと同時に、
ベアリングを両面シールのステンレス製に換装し、
オイルシール部を除去。
ローターを追い込んだ分と同じ数値でアクスルカラーも短くします。
すると○○mmの隙間が、
アクスルカラーとスイングアームの間にできますので、
それに合わせてキャリパーサポートの幅つめ加工を施します。
6.FZ750のノーマルキャリパーサポートは
スイングアームの上でトルクロットに固定されますが、
FZ400は吊り下げ式なので新たにロッドを固定するステーをスイングアームに溶接する
7.アクスルシャフト径はFZ750がφ17、FZ400がφ20です。
もちろんφ20のFZ用を使用しますが、そのままでは長すぎるため、
幅つめをしてネジを切りなおします。
8.φ20のシャフトが使えるように、スイングアームとチェン引きの穴拡大加工を施す。
ざっとこんな所でしたが、実際の加工中には
追加でカラーを製作したり圧入したりと大変でした。
次に加工中等の画像です。
スプロケットハブの加工は、単純に旋盤に加えて行うと考えている方がおられますが、
鋳造の純正品は固体差が大きく、物によっては旋盤加工ではセンターが出ません。
今回も旋盤加工ではセンターが出し辛いと判断してフライス加工にしました。
まずスプロケット固定面を基準に、ハブの裏側をスライスして平行を出します。
(一番左の画像)
次にハイトゲージできちんと平行になったか確認します。(もちろん公差は出ます)
(左から2番目の画像)
そしてNCフライス盤の上に固定して、ベアリング圧入部の内壁ほ基準に、
位置決めピンを使用してハブセンターを出します。
(左から3番目の画像)
各データーを入力してNCフライスを起動させます。
(右の画像)
因みにハブの裏側は直接ホイールに当たりませんので、
多少の加工は全く問題ありません。
スプロケットハブの加工が終わり、ベアリングを圧入。
ホイールに載せた状態です。
(シール部がカットされています)
←ローター座面の追い込み加工です。
←加工終了後のローター仮組み
チェン引きの穴拡大です。
しか〜し、今回は単純に穴拡大だけではありません。
右の写真をよ〜く見て下さい。
検証で何度もシャフトの抜き差しをするので、安心して作業が行えるように
内面強度を高めるためにステンレス製のカラーを製作して圧入してあります。
←加工後のサポートはこんな感じで取り付けます。
当店では現在アルミの溶接は行いませんので、ここだけは唯一外注扱い。
FZ750のスイングアームの長穴は、元々外側は径が大きく、
写真では見えない内側がφ17用になっております。
そちらを拡大加工して、シャフトも加工、
ステンのワッシャーと純正ナットで固定です。
純正のワッシャーを他のものに交換して使用する場合、指でさしたシャフト側に要注意!!
新たに使用するワッシャー内径の面取り幅がノーマルより浅い場合、
シャフト6角部とワッシャーとの間に隙間ができてしまいます。
この場合、シャフト側のRを小さく加工しておけば、今後どんなワッシャーにも対応できるようになります。
←今回使用したカラーはステン製です。
←はいワイヤーロックです。
完成です。(右はおまけのノーマルホイール)
配置が良く判る真後ろから見た写真も残そうと考えていたら、いつの間にか梱包されていました(笑)
まぁクリアランス等は車両オーナーだけの特権ですね!!
しかし今回も一から検証&加工で一発勝負でしたので疲れました〜