バリオスUにZXR250の三又をフィッティングさせるための加工オーダーです。
送って頂いたパーツを確認したところ
ステムシャフトに互換性がありませんでしたので
ステムシャフトのワンオフ、その他トップブリッジの加工や
カラーなどの小物製作を行いました。
車両お持ち込みではありませんので
ステムストッパー等はお客様側で行う前提です。

さてバリオスUのステムベアリングは上下とも内径が30mmですが
それに対して倒立フォークのZXRの方がベアリング内径が小さく
ステムシャフトも細いわけです。

ワンオフするステムシャフトの仕様は
アンダーブラケット挿入部の径がZXRと同じ。
アンダーベアリングからアッパーベアリングまでがバリオスU。
リングナットより上がZXR。
という具合になります。



↑まずはZXRのステムシャフトを引き抜かなくてはなりません。
シャフトを旋盤のチャックでくわえてシャフトエンドの溶接ビートを落として行きますが...

↑ 溶接はけっこう奥まで入り込んでいます。
アンダーブラケット本体側はできるだけ残して掘って行くわけですが、
完全に溶接部が取り除かれると
切削していてシャフトの部分だけ色が変わりますから
それを目安にします。

んでこの後本格的な検証&設計に入り
シャフト製作へと以降します。

↑赤枠のシャフトが今回製作したものです。




↑ネジ部はこんな感じです。
単純にZXR同じネジ長にはできません。



↑アンダーブラケットにプレスで挿入後、
トップブリッジとダミーフォークを取り付けてエンド溶接。



↑そして錆止めのための部分ペイント。
この辺りの作業はサービスで行っております。

↑ こんな感じになりました。

次にトップブリッジの裏側に凹加工を行います。
何故かと言いますと....

例えば....



↑ リングナットがネジ部からわずかに飛び出した状態で固定されるのであれば
トップブリッジの加工は必要ないのですが...



↑逆にリングナットよりネジ山が飛び出るのが一般的なのです。
そこで純正トップブリッジの裏側には大抵
ネジ山を逃がす凹加工が施されているわけです。

今回の場合もバリオスのネジ径に合わせて
深さ3mm程度の凹加工を行います。




↑NCフライスに固定しました。



↑これが加工後です。
トップブリッジ上の袋ナットを締めた時に
赤→の面とリングナット面がしっかり当たる事で
ガタを抑える事になります。





↑ベアリング下の座面径を補正させるスペーサーを製作します。



↑ こんな感じです。
この上に純正のシムリングとシール
そしてベアリングレースを圧入します。



↑ やっと完成までたどり着きました。
スチール製のシャフトなのでグリスをたっぷり塗布してから梱包→発送です。