「SRにSRX(2NY/3HV)のリヤ回りをコンバートさせるための加工をして欲しい」
そんなオーダーです。
当店では初めてのケースですが、パーツを拝見させて頂いたところ物理的には何とかなりそうでしたのでお引き受けしました。

まずはSRとSRXのパーツ検証から入ります。
チェンラインもさる事ながら、
アームヒポットセンターとホイールセンターが一致しているかが重要なポイントです。
スイングアームにも個体差がありますので
前例のある場合は過去のデーターと擦り合わせも行います。
前例の無い場合はお持ち込み頂いたパーツのデーターをベースに加工数値を決めていきます。

   

↑SRXのノーマル状態です。
検証を行った結果、この形式のSRXはリヤホイールセンターとアームピポットセンターは一致せず。
ホイールは○mmほど右側へオフセットされていました。

   

↑アームピポット右側は加工せず、逆に延長させてあげる必要があります。
とは言ってもアームそのものを延長させるのではなく、
ダストカバー内のシムワッシャーの厚みを変更させて対応します。
今回はステンレスで製作しました。(写真右)

↑アームピポット左側(赤枠部)は幅詰め加工します。
またピポットブッシュ(パイプ)(緑枠)も幅詰めします。


当然ベアリング等は新品に交換します。
SRの場合はダストカバーも含めたアームピポット全幅よりもフレームの方がやや広く、
ピポットシャフト&ナットを締めこんで丁度良くなる様です。
ここも個体差はあるでしょうが...

↑さて問題のサスマウントです。
今回のオーダーはSRと同じ位置にマウントを新設して欲しいとの事です。
このアームはスチール製なのでノーマルマウントを取り除いて下地を整えるだけでも
それなりの時間と根気が必要になります。

   

↑マウントはこれだというのが市販されていなかったので
スチールの角材からワンオフしました。


   

↑SRXのノーマルマウントより○○mm前方で○mm内側へ配置して溶接です。
ところが仮組をしてみると黄色枠の部分が邪魔になる事が判明。
そこでハンドツールで整形し直し、
錆止めのため仮ペイント処理を行って終了しました。↓


   

↑最後はスプロケットハブ加工です。
この形式のSRXのハブは写真の様な構造です。
すでに座面加工(青枠)を終えてスプロケットを仮組してあります。

○mmほど座面を追い込みました。
これでフロントにオフセットスプロケットを使用しなくてもSRと同じチェンラインになります。