「V-MAXトライクに乗っていますが足が不自由なのでサムブレーキを取り付けてほしい」
そんなオーダーです。
V-MAXトライクの入庫も初めてならサムブレーキの取り付けも初めてなのですが
それをお伝えした上で車体をお持ち込み頂き、
まずはどんな物かと打ち合わせするところから始める事にしました。
実際にトライクを見た印象は「デカイ」という事に尽きますね。
サムブレーキシステムにつきましては色々と調べた結果、
市販のフロントブレーキマスターを流用する事にしました。
その他、ステムのガタつきと、フロントブレーキがほとんど効かない状態でしたので
それらのメンテも同時に行っていきます。
↑マスターはニッシンのラジアルタイプを使う事にしました。
右の写真の様なブラケットをワンオフしてハンドルバーの下に取り付けます。
因みに写真のブラケットはまだ完成品ではありませんので
クランプの溝をつけていません。
↑いきなり本番モデルを製作するわけにはいきませんので、
まずは中古のレバーを使って形状を決めて行きます。
単純に旋回時のブレーキ操作だけを目的にするのであれば
ストレート形状のレバーでも良いのですが、
グローブをして、ウインカーやフォーンの操作を行ったり、
クラッチレバーを握りながらサムブレーキレバーを押しこむとなると、
赤丸部のスペースが問題になりました。
また実際問題クラッチレバーを握りながらサムブレーキ操作を行うには慣れが必要であり、
手の大きさにもよってもレバー形状が左右される事から
色々と試行錯誤する事になりました。
↑こちらは完成形です。
マスターカップステーもワンオフして取り付け完了です。
↑ サムブレーキマスターのブレーキスイッチも当然使える様に配線加工してあります。
↑ノーマルのリヤマスターです。
何故リヤマスターを残してあるかと言いますと、
今回のサムブレーキ製作に当たり、
右足ブレーキペダルシステムもそのまま生かすという条件があるからです。
本来マスターカップホースが連結部分に
サムブレーキマスターからのホースを連結させますが、
ボルトオンできるフィッティングパーツは恐らく市販されていないと思います。
当店でも試行錯誤の結果ある方法で連結させましたが、
企業秘密とさせて下さい!!
尚、構造上、ペダルとサムブレーキを同時に機能させる事はできません。
またこのトライクは乗用車クラスの油圧ドラムブレーキを二個装備し、
それをオートバイのマスターで作動させているわけですから、
右足ブレーキペダル&サムブレーキ共、
ストロークが多く、カチっち効くタイプのブレーキにはならない事も
理解しておく必要があると思います。
↑ 構造上エア抜きするのも大変です。
↑トライクに乗られた方なら皆さん御理解できると思いますが、
二輪車の様にコーナリング時に車体が傾かないトライクでは
ステムに相当な負担が加わります。
サイドカーのコーナリングも難しいですが、
トライクのコーナリングもきちんと減速しないと難しいと思います。
テスト走行する時にヘルメットをかぶらず出てしまったために
スピードを出したら息ができないわ
おでこ全開で信号待ちではとんでもない髪型になっていました(爆)
元々ついていたステムベアリングは錆びも出てガビガビでした。
因みにV-MAXのステムベアリングレースの交換はかなり時間がかかりますねぇ...
↑ハンドルポストを交換してポジションを手前に寄せた結果、
ノーマルのアクセルワイヤーが使えずロングタイプに交換しました。
ブレーキホースやクラッチの油圧ホースはそのままでOKです。
フロントのマスターシリンダーはかなり状態が悪く
ニッシン製の新品に交換しました。
↑作業も終わりに近づいた時にいきなりトラブル発生!!
なんとサイドブレーキレバーを引き上げたら根本の台座からもぎれてしまいました(泣)
もちろん必要以上に強い力で引っ張ったりしていないですよ〜
↑原因はすぐに判明しました。
本来は緑枠の部分全周に溶接されているものなのですが、
元々の溶接が不十分で巣穴から錆びが発生し、
実際に溶着されていたのは赤枠のわずかな部分だけ、
これでは少しづつ亀裂が入ってもぎれてしまったのもうなずけます。
↑溶接トーチが入り辛い部分なので作業は大変でしたが
無事に補修完了!!
↑納車直前の一枚です。
今回はトライク用に製作しましたが、
使う条件や車種によっても色々と製作する事は可能な様です。
サムブレーキについての御相談も受け付けますので
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