RZV500にFZR400RR(3TJ)のフロント回りを流用するに当たって必要となる
ステムシャフト、ストッパーピン、トップブリッジの製作を承りました。


ステムシャフトにつきましては過去に製作しておりますので特に問題はありませんが。
3TJのトップブリッジは↓の写真の様に段付きでフォークも短く、
トップブリッジ下のセパハンではアッパーカウルやGタンクとの位置関係もシビアになります。

通常は市販のフォーク延長キット等を用いて
トップブリッジ上にセパハンを配置する事になると思いますが、

@今回は初めから平なトップブリッジを製作し、
フォーク延長キットを使用したとしてもセパハンはあくまでトップブリッジ下に配置しする事。

A3TJのノーマルトップブリッジもそのまま使えるように
ステムシャフトの設計を行う事。

B3TJのノーマルトップブリッジにはハンドル位置決めを行うボルト穴がありますが、
新規トップブリッジにも同じ位置に穴を開ける事。

以上を条件として作業を進める事にしました。


 
  
↑赤枠がハンドル位置決めボルト穴です。
ストッパーの役目もしております。




↑作業内容が前後しますが、
すでにステムシャフトの製作も終わりハンドルの切れ角を調べているところです。
写真は3TJのノーマルトップブリッジを使っての検証ですが、
できるだけステムの切れ角を多めに取りたいのですが、
緑枠の位置にクランプボルトがあるため、
Gタンクとはギリギリのクリアランスになります。
立ちごけなどをしてストッパーを曲げてしまいますと
ステムが切れすぎてタンクが凹んでしまうかもしれません。

新規トップブリッジではクランプボルト位置を変更させ
ステムの切れ角が同じならよりクリアランスを多く取れる様にしました。


  

↑完成したトップブリッジ本体とステムシャフト(中央)です。
ステムシャフトは今回スチール製の貫通タイプです。


↑んで今回最も苦労したのがキーシリンダーの位置決めです。

そんなものRZVのノーマルトップブリッジから測定すれば簡単でしょうなんて思わないで下さいね。
RZVはフレームヘッド側にスチール製のストッパーが装着されているのですが、
キーシリンダーの爪を出さない状態でも(つまりロックしない状態でも)ストッパーとのクリアランスがそれほど無いのです。
しかも写真の黄色枠を見て判るとおり、
ベースのステー中心から前方ですこし右側に寄って穴が開けられています。
※トップブリッジ真上から見ると左に寄っている

トップブリッジ、アンダーブラケット、ステムシャフト、フォーク、ホイール
これらの製造時にはかならず加工誤差がでるわけで、
当然キーシリンダー位置にもわずかに誤差がでるわけですが、
アバウトなノーマルトップブリッジから
キーシリンダー取り付け時の公差も考慮して設計をするのは
今回の様に元々のクリアランスが少ない場合はリスクが大きくなるわけです。
(我々が製作するトップブリッジもにも加工公差がでますので)

散々悩んだ挙句、今回はキーシリンダーステーにネジ穴を開けない状態で製作し、
実際にフレームに三又をフィッティングさせた状態で
キーシリンダーを仮当てし、そこから少しクリアランスに余裕を持たせてネジ穴加工を行いました。


   

↑こちらはお馴染のステムストッパー加工です。
3TJのアンダーはスチール製です。
ステムシャフトを圧入する前に平面加工を施し、
それから一度シャフトを圧入してストッパーピンの位置決めを行い、
その後またシャフトを引き抜いてストッパーピン固定ポルト穴加工を行ってから
サビ止めのペイントを行ってシャフトを再圧入します。

比較的オーダーが多い車両に関しましては、
いちいち圧入しなくても良い様にダミーシャフトを造って置きますが、
再圧入を繰り返してもアンダーブラケットに問題が発生しない様に考慮しながら
作業を行っているのは言うまでもありませんね!!


因みに↑緑枠のカラーは径の異なるストッパーピンです。