「GPZ400RにN型ZZR400のフロント回りとリヤホイールをフィッティングできる様に
加工してもらいたい」そんなオーダーです。
車体の整備やレストアに関しましては、
依頼主様が行うとの事ですので、当店としては車体とパーツをお預かりし、
ボルトオンできるように各部の加工や調整を行い、
最終的にはZZR400の足回りを仮組状態にして納車する事になりました。
↑シャフトに関しましては互換性がありませんのでワンオフしました。
本来はアンダーベアリング下にシールが入りますが、
GPZの方がシール内径が小さく互換性もありません。
シールが使える様にスペーサーをベアリング下に配置する事も可能ですが、
今回はあえてシールレス仕様としました。
理由はのちほど...
↑ZZR400はWナット仕様ですが、
ナット下のカバーとの兼ね合いもあり、今回はGPZノーマルのシングルナット仕様です。
因みに多くの車両の場合、写真の赤印の様にナット上にネジ山が
若干飛び出た感じで固定されます。
この飛び出たネジ山部分をかわすために
通常はトップブリッジ裏のシャフト貫通穴には凹加工がされたり
面取りが多くされていたりするものですが....
↑今回は市販のトップブリッジをお持ち込みになられました。
写真はその裏側です。
↑左はZZR400ノーマル。 右は市販品。
赤印を見ると判ると思いますが、ノーマルはテーパー状に深く面取りされており、市販は浅い面取りです。
この市販品の面取りの浅さではナット上に飛び出したわずかネジ山もかわす事ができず、
ナットに対してトップブリッジが浮いてしまいました。
そこで今回しトップブリッジ裏側に凹加工を施しましたが、
写真は残念ながら無しです。
※ネジ山逃がしのためにスペーサーを配置する場合も多々あります。
↑次はステムストッパーとキーシリンダー取り付けに関してです。
写真はストッパー(アンダーブラケット、フレーム共)を全く加工しないで仮組した状態です。
切れ角は浅いですが、ストッパーの位置や高さは悪くありません。(緑印)
ステムシャフトの項目でも記載しましたが、
アンダーベアリング下にダストシールを配置する場合は、
アンダーブラケットが5mm近く下へ下がるため、
ストッパーの高さが合わなくなります。
もちろん、ノーマルのストッパーを切除した上で新たなトッパーを立てる事も可能です。
↑ハンドルの切れ角をギリギリまで増やすため、
フレーム側のストッパーを整形します。
↑ こんな感じです。
↑ステムの切れ角が完全に決まったら
キーシリンダーの位置決め検証を行いステーの製作に入ります。
緑印のステーは今回製作したものです。
※ZZRのキーシリンダー位置は手前すぎでフレーム側のストッパーに干渉するため。
↑はい 仮組でOKがでました。
こうした地道な作業にとても時間がかかります。
↑最終的な切れ角です。
写真では分かりづらいですがアッパーカウル内にちゃんと収まっております。
次にリヤ回り↓
ZZRのシャフトはφ20でGPZ400Rはφ17です。
ブレーキシステムはZZRを使用しますが、
ベアリング/キャリパーサポート/スプロケットハブ内のカラーの
内径を合わせるためのスペーサー製作。
内径を変更させたアクスルカラー、トルクロットなどが必要となります。
↑ トルクロッドはこんな感じです。
純正品はどちらも角度が合わないのでピロ付きワンオフロッドです。
↑キャリパーサポートはアクスル部の厚み調整を行います。
またGPZのアクスルシャフト径に合わせるためのスペーサーも製作します。
↑チェンを合わせるためにスプロケットハブ座面の追い込み加工が必要です。
↑という事で各パーツの加工および製作終了。
ノーマルは前後16インチホイールですので今後はタイヤの選択幅が
かなり広がりますね!!