トップブリッジの穴あけ加工はよくあるオーダーですが、
穴あけ加工と言いましても、
ポンチで印しをつけてボール盤で穴開けするレベルから
もっと精度を高めた穴あけまで色々です。
そこで当店で普段行っているやり方を紹介したいと思います。
※ただし、トップブリッジやポストの形状によっても
加工方法はまちまちですので今回はあくまで1例にすぎません。
↑カワサキ9Rのトップブリッジに画像の様なポストをフィッティングさせます。
依頼条件として、ポスト本体の一部がトップブリッジからはみ出したとしても
なるべく下側に穴を開けて欲しいというものです。
この様な場合は、トップブリッジ表面から位置だしを行うのではなく、
いきなり裏側から加工に入りますが、
一番重要なのはトップブリッジをいかに平行に機械に固定するかという事です。
↑まずフォークインナーと同径の円形アルミブロックを
トップブリッジ両サイドにしっかりクランプします。
この時のブロック長は突き出し分も必要です。
↑ジグを介してトップブリッジをフライス盤の上に仮固定します。
ジグの構造については省略。
突き出したアルミブロックの側面に画像の様なゲージを当て、
フライステーブルを左右に振れば、
ブロック外周頂点が判りますのでそこを0基準とします。
この時はまだトップブリッジは仮固定なので、
プラハン等で軽くコツンと押すだけでトップブリッジは微妙に動きます。
次に反対側のクランプも同じ様に測定して行き、
最終的に左右の頂点が±0になるように少しずつ位置だしをしていきます。
トップブリッジ表面は直にジグに当てているのではなく、
キズ防止のために当たり面にマスキングをしてあります。
最終的にトップブリッジをしっかり固定する際は、
マスキングによるずれが生じますので、
それらにも注意して位置決めしなくてはなりません。
↑トップブリッジを平行に固定したら次にセンター出しを行います。
シャフト貫通穴にセンター出しのピンを当て、
前後、左右と計測してセンターが出たらそこをすべての基準点とします。
センターピンの使い方は省略。
↑左右のクランプだけでは振れが出てしまう恐れがあるため
改めてセンターにもジグを使って固定します。
このあと念のためにもう一度計測器具を当て、
トップブリッジの平行が出ているか確認します。
実はここまでの段取りに時間がかかるのであって
これから行う加工自体は大した時間はかかりません。
トップブリッジは鋳造品ですので、
どんなに頑張っても固定上、物理的に精度の上げられない部分はありますが、
ここまでの工程から穴あけ位置はかなり正確になります。
↑ まずエンドミル(カッター)で凹加工を行います。
フライスには位置だしのカウンターが付いていますので、
先程の基準点から左側へ45mmカッターを移動させ、
前後方向で一番良いと思う位置で加工を始めます。
今回はトップブリッジ裏側からすべて加工できるので良いのですが、
トップブリッジ表面から位置出し&穴あけを行い、
再度トップブリッジをひっくり返して凹加工を行う場合は、
表裏の位置がずれないよう細心の注意が必要です。
↑ そしてドリリングして面取りして終了です。
↑ このタイプのポスト構造で注意しなくてはいけない点がまだあります。
凹加工を行う際、単にワッシャー径に合わせて加工を行うと、
肝心の工具が使えなくなったりしますので、
ディープソケットの直径分は確保しましょう。
普段使っているスナップオンは肉厚が薄いので、
他のメーカーでも行けるように多少大きめにしました。