「SRのフレームにNSRの足回りをフィッティングさせて欲しい」
そんなオーダーです。

車両オーナー様と打ち合わせの結果、
SRのフレームとNSRの足回りを送って頂き、
@三又をボルトオンさせる
Aスイングアーム&ホイールのセンター出しとフィッティング加工
Bリヤブレーキをブレンボカニキャリパーとし、
サポートを固定するロットは出来るだけ短く、
そしてアームに平行になる様にする。
そんなところです。

ギヤボックス、チェンラインにつきましては
今回は当店では手を入れませんので
あくまでもフィッティングのための基本加工という事でご覧下さい。

  

↑ 左がSR 右がNSRです。
シャフト長は異なりますが、
シャフトを引き抜いたところ圧入部の径は100分台の違いしかなく、
シャフトはワンオフする事なく、換装溶接で済みました。

  

↑アンダーベアリング下に台座となるスペーサーを入れます。

 

↑今回はフレーム検証が行えましたので、
アンダーベアリング下のスペーサー厚をギリギリまで落とせました。

  
 

↑溶接後に錆止めのためペイントして終了です。

↑仮組み時のシャフトアッパー部です。
基本的にSRのシャフトなので問題はありません。

    

↑シャフトはSRのものが流用できましたが、
NSRのトップブリッジはそのまま使用できません。
シャフトが通る穴が微妙に大きく、
トップブリッジノン加工でスペーサーを打ち込もうにも
肉厚が足りなくて精度が出せません。

そこでトップブリッジ穴をもう少し大きく加工し、
ツバ付きスペーサーを製作して打ち込みます。
まぁこれは当店ではよく使う手です。




↑ スイングアームは個体差が大きいパーツですので
持ち込まれたパーツの検証を行ってから
過去の加工データーとの比較を行い、
最終的に加工数値を決めていきます。

NSRのピポットシャフト径はφ15ですが、SRはφ16です。
スイングアームピポットの幅詰めはもちろんの事、
インナーパーツの変更も行います。

上の写真の上段パーツは新規に使用する物
下段はNSRのノーマルです。

ピポット左のニードルベアリングはSRシャフト仕様にしても
NSR純正を使用する予定でしたが、
驚いた事にメーカー欠品というか廃盤に近い状況です。
こんな消耗品がメーカーから出て来ないとは
何たる事でしょうか...
仕方ないので規格に合うものをベアリングメーカーより取り寄せました。

   

↑左は某ショップ製サスマウントでお持込パーツです。
精度、溶接性、特に問題ありません。

写真右 マウント位置をどこにするのか
あらかじめマジックで示して頂きました。

   

↑写真左はチェンカバーステーです。
サスマウントと重なりますので当然切除します。

写真右は切除後変面出しを行ってマウントを溶接したところです。
今回は`89のNSRですが、
アーム上面に微妙なRがついていてそのままマウントを溶接できません。
手作業で平面出しを行いますので
その分の工賃がどうしても必要になります。

   

↑トルクロットステーです。
右下に溶接します。

   


↑当店でワンオフしたサポートです。
通常はローター外周より外側にトルクロットを固定するための穴を開け、
ボルト&ロックナットでガッチリ固定しますが、
今回はできるだけアームと平行にトルクロットを配置とて欲しいとのご要望があり、
資料として他店でカスタムされた車両の画像を頂きましたので、
それにできるだけ従う形状にしました。

 

↑ サポートの側面にピロボールをボルト止めしてあります。
ローターとサポートの位置関係からピロボール固定ボルトはナット止めではなく、
サポートにネジ穴を作って固定しているわけです。

今回はサポートアクスル部にベアリングを使用しないリジットタイプですので
ピロボールやボルトへの負担が少ない事から
お客様のご要望をそのまま形にしましたが、
フローティングサポートの場合は、
常にピロボールや固定ボルトに負荷がかかりますので
ボルトナットでガッチリ固定した方が良いと思います。

 

↑クリアランスはこんな感じです。

 

リヤ廻りの全体ではこんな感じ。

以上無事にミッション終了。