「既存のトップブリッジと純正エンブレムを送るので
トップブリッジに埋め込み加工して欲しい」
そんなオーダーです。
荷物が届いて中を開けてみると...
あいや〜バフ掛けされてんのねぇ〜
ぐはっ 傷つけないよう加工するの大変そうだなぁ
というのが第一印象です。
加工の専門屋なら分ると思いますが、
機械を起動させるためのプログラムや
トップブリッジ固定のためのジクが予め用意されていれば、
この程度のポケット加工なんぞわけないのですが、
何にもない状態から始めるのは
一般の方が思うより時間がかかるのでーす。
↑お客様のご希望としてはエンブレムをセンターに配置し、
元々肉抜きされているラインに当たらないように
やや前方寄りという物でした。
う〜む どうやって位置決めしようかなぁ...
と悩んだのですが、
一先ずフォーククランプ径とフォークピッチを調べ、
原寸大に図面化してエンブレムの位置を決めて行きました。
そして...
@クランプ部にフォーク径と同じ丸棒を差込みます。
※丸棒がトップブリッジ上面より飛び出す様にする。
A原寸大の図面のクランプ内径部をハサミでカットして
左右の丸棒を通してトップブリッジの上に被せれば完了です。
穴あけ位置は前後方向が一度に決まりませんので
何回か図面を書き直してはハサミで切り出し、
これでOKというところでプログラムに入ります。
↑次にジグの製作です。
トップブリッジをキズ付けない様に固定できて、
尚且つNCフライス加工のプログラム原点をきっちり出すにはどうするか...
また頭を悩ませます。
もちろん量産が目的であれば
トップブリッジに合わせてピン付きの立派なジグを製作しますが、
今回頂ける加工代からしてそんな事はできません。
そこで以前トップブリッジを製作しようとしてボツになった材料を使う事にしました。
まず外周の面だしをしてからバイスで加え、
フルバックという刃物で表面を平に削ります。
そうする事で刃物とジグの平行を出します。
今回のトップブリッジは裏側に凸部がありますので、
ジグも予め凹加工をしておきます。
次に右端下の角を加工原点として、
トップブリッジ固定に必要な穴あけを行います。
ここから肝心のトップブリッジの固定方法ですが、
ジグの寸法、加工原点やフォーククランプ位置も記載した原寸大の図面を利用して、
固定させますが、そこから先は企業秘密。
というか説明が面倒くさい(汗)
おっと プログラムミスがあっては行けませんので
念のために微調節も含めたテスト加工を三回行いました。
(右上の四角3個)
↑んで緊張しながら本番加工も終了。
トップブリッジにキズが付く事もなく、
エンブレムのRも問題なくきっちり収まりました。
たった一つのポケット加工でも素材にキズを付けないできっちり加工するには
実はかなり時間がかかるという事ご理解頂ければ幸いです。
尚、今回は四角のエンブレムでしたのでお引き受けしましたが、
複合Rのポケット加工は行いません。