↑早速送られてきた双方の三又と新品ベアリングです。
右のCRFのパーツはかなりきれいな状態です。
↑シャフトエンドの形状がかなり異なりますね。
材質もXRがスチール製なのに対して、CRFはジュラルミンです。
シャフトの径もベアリングも全く互換性がありません。
↑中央のシャフトが今回新たに製作した物です。
材質はスチールを選択しましたが、シャフトエンドの内円&テーパー形状は
CRFと同形状をご希望との事でしたのて゛その様に対処しました。
アンダーブラケット圧入部はCRFの寸法で加工し、
アッパーベアリング上のナットまではXRとなります。
その上は径やネジ寸法こそXRと同じですが、
長さはCRFのトップブリッジ等に合わせて加工します。
CRFのシャフトエンドにはCリングストッパーが装着される様なU溝がありますが、
実際にはCリングは使用されておらず、
そのままアンダーブラケットへ圧入されている仕様です。
U溝からシャフトエンドの突起にかけて微妙なRがありますので
これを無視して新規シャフトエンドを製作してしまいますと、
アンダーブラケット圧入面とはめ合わせが変わってしまいます。
この辺りをどこまで補正するかでいつも悩みます。
↑出来上がシャフト
↑次にトップブリッジです。
新規ステムシャフトのトップ周辺径は、アッパーベアリング内径の関係から
XRの径をそのまま採用しますが、
CRFのトップブリッジのシャフト貫通穴は径が大きすぎてそのままでは使用できません。
かと言って上の写真にあるスペーサーを打ち込むには径が小さすぎます。
(スペーサー外径をこれ以上小さくすると加工精度が保てなくなります。)
そこでNCフライスで貫通穴を拡大して
スペーサーを打ち込みます。
写真はすでに拡大後のものです。
↑写真の様に今回の仕様ではスペーサーを下から圧入します。
スペーサーの内穴下部は
シャフトのネジ山を逃がすために段付にする事も忘れてはなりません。
当店ではこの様な仕様は多々あるのですが、
スペーサーが単純なリング形状ではなく、
ツバ付きとなっているのには理由があります。
単純なリング形状でも、スペーサーとしての役目は十分に果たしますが、
本来トップブリッジはフォーククランプの本締めを行う前に
トップブリッジ上面のセンターナットをきっちり締め付け、
トップブリッジ下面を
アッパーベアリング上のナット上面にしっかり固定させる事で
ガタツキやナットの緩みをも防止させます。
単純なリング形状のスペーサーではシャフト貫通穴を拡大した分、
アッパーベアリング上のナットへ固定する面積が少なくなり、
トップブリッジ上のセンターナットを締めこんでも
本来の効果が少なくなるのです。
もちろんこれはすべての車種に言える事ではなく、
使用するナットの辺り面積やスペーサーサイズによって異なりますが、
特に大型車では注意が必要な部分です。
今回の様に貫通穴の拡大径が大きい場合は、
スペーサーをツバ付きにして、辺り面積を確保してあげるのが最良だと考えます。
↑シャフト組み込み後です
↑トップブリッジ上のセンターナットの下にも
純正より精度あるワッシャーを配置して終了です。
もちろん当たり面積を確保するのが目的です。
今回はスチールシャフトですので
ツバ付きの袋ナットの方が錆防止にも役立つのは言うまでもありませんね。