「特別調子が悪いというわけではありませんが
今後も長く所有したいのでこの辺りでエンジンメンテを本格的に行いたい」
そんなオーダーです。
いつもながらこうやって手を入れてもらえるバイクは幸せものですね!!
↑ テールカウルがTZRの物になっていますが違和感がないですね!!
現在の走行距離は35700キロですが、
購入された時は確か10000キロくらいと仰っていました。
一度ピントンリング等を交換しているそうですがさて現状はどうでしょう...
まずこうしたオーダーを頂いた時に当店で行う事は
車両入庫時にお客様と入念に打ち合わせを行う事です。
何しろエンジンというのは開けてみなければ判らない部分が多々ありますので、
最悪の場合はどのくらいの費用がかかるかを事前にお伝えしなければなりません。
どんぶり勘定ではトラブルの元になりますので
PCに入力してあるパーツデーターをお見せしながら
予算との摺り合わせ行うのです。
長年の経験からどのパーツを交換しないと後々痛い目に合うというのは判っていますので
それらを優先しつつ、再利用するパーツ等についても
お客様の意向をお伺いしながらお話をさせて頂きます。
その結果、打ち合わせ時間が数時間に及ぼうとも全く構わないと思っていますので、
何か不安な点や確認事項がありましたら遠慮無しに仰って頂けると幸いです。
さて打ち合わせが終わり、
最悪の状態でもO/Hを行いたいという決意表明!?をいただければ
改めて作業日程を組み、一度エンジンを下ろしてパーツの消耗を調べて
正式なお見積もりを造ります。
その後全体の金額の半額をご入金して頂いて本格的にパーツの発注が可能となります。
↑すいません。
デジカメの調子がイマイチでピンボケしました。
今回はエンジン以外にキャブやガソリンタンク内の錆び取りコーティング
ステムベアリングの交換まで行う事になりました。
↑35700キロのエンジンの行方はいかに!!
↑YPVSバルブホルダーです。
まだ清掃する前ですがすでにアルマイトも剥がれ、
地肌もガビガビですので再使用不可です。
これらのパーツは2XTや3MAではすでに廃盤になっておりますが
R1Zや1KT.RZRはまだ健在です。
奥に見えるのがYPVSバルブです。
幸い左右とも健在でした。
↑ シリンダー内です。
一見たてキズの様にみえますが、抱きつきなどのダメージはありません。
走行距離なりの消耗度でむしろスリーブ内壁に錆びが発生した様子もなく
いい感じで距離を重ねているといる言ったところでしょうか。
今回は0.25のオーバーサイズピストンを入れる予定です。
↑ 外見のチェックではしっかりしている様に思えたYPVSバルブジョイントですが
取り外してみるとけっこうダメージがありました。
まず右の写真ですが、親指の爪の部分が裂けているのが判りますか?
因みにこの部分は樹脂でできています。
右の写真はジョイントのベース部分です。
親指の爪の先ですが見事に段付になっています。
これを放っておくと、YPVSバルブと噛み合わせが悪くなり、
左右均等にバルブが開かないばかりか、バルブその物もオシャカになります。
入庫された時点(バラす前)でエキパイとラジエターの隙間から手を入れて
ジョイントのガタつきをチェックしますが、
今回はそうした外見のチェックでは判らない好例となったのではないかと思います。
↑キャブジョイントです。
親指の先に比較的大きな亀裂が入っております。
車両の側面で問題無い様にみえてもキャブとキャブの間が駄目になっているケースがありますので
こうしたゴム製品は思い切って交換した方が賢明だと思います。
さてさて今回は一先ずここまでです。
さてさて続き再開します。
エンジンのO/Hが終わり、他にオーダーのあったステムベアリング交換を行うために
フロント回りの取り外しにかかったのですが、
ホイールベアリングが昇天していました。
↑写真左がスピードメーターギヤ側
何故か右側が極端に消耗しています。
実はこのところR1Zのホイールベアリング交換が相次いでいますが、
ちょうどそういう時期なのでしょうか??
↑ 拡大写真です。
ボールが腐って内輪が遊んでいます。
↑こちらは別のお客様のR1Zをメンテした時のフロントベアリングです。
入庫した時の症状としてはブレーキレバーに振動が伝わるという事で
当初ローターの曲がりをご心配されておられましたが、
結果はローターではなくベアリングでした。
走行中にボールが砕ける事もありますので
今まで一度も交換した事のない車輌は
安全のために新品交換をお薦めします。
↑話が戻りましてリヤホイールベアリング、チェン、フロントスプロケットも交換となりました。
リヤホイールベアリングは形状の異なるものが装着されていましたので
正規の状態に戻しました。