カスタムやメンテ時に多い作業の一つがガソリンタンクの錆取り&コーティングです。
給油口から覗いてきれいに見えるタンクも
実は底の方でかなり錆びていたりするわけです。

錆の細かい粒子は純正燃料コックのフィルターを通してしまいますし、
それらを防ぐために目の細かい市販フィルターを取り付けると
場合によってはガソリン供給量が追い付かなくなる場合があります。

そこで錆取り&コーティングとなるわけですが、
正直に言って一般ユーザー様が手軽にできる作業ではありません。
錆取り剤やコーティング剤は多く市販されていますが
錆取り後の洗浄や水分除去を完璧に行うには
それなりの場所と設備と時間が必要になるからです。

水分が残ったままコーティングしてしまえば剥がれる原因になりますし、
防腐効果があると謳った一液性の錆取り剤は手軽に使用できる感覚がありますが、
実際の「防腐効果」はあくまでも一時的なものでコーティングとは全く異なります。

もちろんあまりに錆の酷いものや
タンクに穴が開いてしまった物を100%復活できると断言できませんが、
軽症の内に手を打っておけば確実にタンクの寿命は長くなりますので
キャブのO/Hを等を行う時は是非タンクの錆取り&コーティングもご検討ください。

  


↑カスタム進行中のCB1100Fのガソリンタンクです。
外見はとってもきれいです。

右の写真は当店で錆取りコーティングを行った状態です。
少しザラザラした感じになっていますがこれには理由があります。

実は車体をお預かりした時にタンク内を覗いてみると
鉄板はすでに細かいクレーター状にザラザラしていて
その中心にところどころ錆が発生していました。
お話を伺ったところ、
一度錆取りを行ってあるそうですが、
コーティング処理までは行われておらず
せっかく落とした錆の跡からまた錆が発生してしまった様です。
こうした例は良くある事なのですが、
このまま放置しておくと外見のきれいなタンクも台無しになってしまいます。
そこで一から処置のやり直しをお薦めしました。


↑異なるユーザー様から同時期にTDR250タンクの錆取り&コーティングオーダーが入りました。
数あるタンクの中でもTDRは処置が難しいタンクです。

そのため価格も通常より割高になってしまいますが
錆びやすいタンクなので末永く乗りたい方は是非ご相談ください。

↑処置の終わったTDRタンクです。
何が難しいってタンク内にパイプ(赤枠)が二本も通っているのです。
錆取りが終わって洗浄→水分の除去→コーティング剤の流し込みを行ったら
スタッフ付きっきりでタンクを回転させながら
こうしたパイプの表面にも十分にコーティング剤が行きわたる様にします。
そして口の部分もしっかりとコーティングします。

ドレンパイプの内側も注射器を使ってコーティング剤を流し込みます。
※できない物もあります。

当店では一個のタンクに対して十分な量のコーティング剤を使いますので
タンク内で最終的に余った分は
燃料コック取り付け穴から排出させます。

尚、TDRの他、R1ZやTZR系、RZRの3〜4型タンク等、
ドレンパイプがタンク内を通っているものは、
そのパイプの付け根に錆で穴が開いたりしますので
酷い状態になる前に処置しましょう!!


↑こちらもお決まりのRZRタンクですね。

↑エア抜きしながら錆取り剤に口まで漬け込みます。
漬け込む日数はタンクの状態によって異なりますが
塗装には影響ありません。


以上今回は思い立ってアップしましたので処置前の写真を残していませんでしたが、
いずれまた続編でアップしたいと思います。