「オイルポンプよりオイル漏れがありショップでシールを交換したものの
直らないので見て欲しい」そんなオーダーです。

オイルポンプ以外にざっと点検してみたところ
お約束どおりシフトシャフトのシールからも許容を超えるオイル漏れがあり、
ついでにフロントスプロケット内側のシールとカラーもjまとめて交換する事になりました。

   

↑オイルポンプです。
確かにシャフトからかなり目立つ量のオイルが漏れています。
またクランクケースとの合い面も怪しい感じでした。
実際どこのシールを交換したのかは不明との事ですが、
パーツリスト上では緑矢印のシールは単体で取れない事になっております。
仮に他車のシールや市販シールが適応サイズだったとしても
当店ではオイル漏れを起したオイルポンプはアッシーで交換を進めております。

   

↑ 左写真の緑矢印がシャフトに当たる部分ですが
一見二重構造ですが実際はベロ一枚でシャフトに当たります。

そして右の写真の緑円内の横スジがシールの当たり面ですが、
この部分はけして柔らかい素材ではないのにも関わらず
消耗してわずかに凹になっています。
こういう状態でシールのみを新品に交換しても
段付部分にシールのベロが当たって早期に駄目になるパターンが多いのです。
もちろんシールのみの交換で漏れなくなった例もあると思いますが、
重要なパーツですので消耗品としてきちんと交換したいところです。

↑ こちらも同じくシールが当たる部分が凹みになっていたらNG



↑これがスプロケット内側のカラーです。
表面は焼き入れ処理をして硬度を高めたパーツですが
対するゴム製品(シール)の力は恐るべし。
焼き入れパーツすら段付にしてしまいます。
シールを交換する時はかならずこのカラーやOリングもセットで交換しましょう!!

↑これがTDR/R1Z/1KT等に新車時に組まれているシールです。
緑円をご覧下さい。突起があります。
この突起はクランクケース上下の凹部にハメる様に組み付けられておりますので
本来は外から簡単に取り除く事ができません。

とは言え、シールからオイル漏れをおこしただけて
いちいちクランクケースを割るわけには行きませんので、
荒療治でケースを痛めずに取り外します。
一旦シールを取り外してしまえば、
メーカーから突起無しでCリングを使って固定する対策パーツが出ておりますので
それに交換して一件落着です。
※写真はその内アップします。

因みにRZ/RZRではシールにこの様な突起はありませんが、
それでも装着するのはなかなか難しいですよ〜

  

↑最後にシフトシャフトです。
かなりの量のオイルが漏れていたので予測どおり、
シャフトそのものも磨耗もご覧の通り。
凹みだけではなく鮫肌になっておりました。
これもシールだけの交換では直らないですね。

さて今回かかった修理代金ですが
オイルポンプやシフトシャフトも含むパーツやオイル代、
工賃も含めて\36000弱でした。
シフトシャフト交換時にクラッチカバーを外しますので、
キックシールや冷却水も当然交換しての金額です。
ただし車輌の状態によって価格は変動しますし、
純正パーツ代も年々値上がりしますので
その点は予めご了承下さい。