「数年乗らない間にヤレてしまったR1Zをきれいに仕上げてやりたい」
そんなオーダーです。

入庫された車両を見てみると確かにあちこち腐食しています。
キャブも要O/Hでエンジンは不動です。
こうした車両を単に動かすのではなくきれいに仕上げるという事は
かなり大変な作業になり、予算もそれなりに必要となります。
何をどうするとどのくらいの予算が必要なのかをお伝えした上で、
実際にどこを優先させて仕上げるのか、
車両オーナー様と何時間かに渡りお話しをしながら
方向性を決めて行きました。


↑今回まずヤレてしまった骨格部分の再生を優先しブレーキ関連を更新する事。
エンジンについては、特に焼き付いているわけではありませんので、
キャブのO/Hと電装関連の更新、
それからガソリンタンクの錆び取りとコーティングで始動できるはずなので
よほど状態が悪くない限りO/H作業は見送る事にしました。

↑フレームは長く持たせる事を優先してダイヤモンドコート仕上げです。
鉄フレームとの相性はとても良いペイント方法だと思います。

R1Zの場合は緑円のパーツが腐食でかなり見栄えが悪くなりますので
ブラストしてからベルトサンダーで仕上げました。

↑スイングアームもフレームと一緒にダイヤモンドコート仕上げです。
ダイヤモンドコートは外注扱いですが
スイングアーム単体で出すよりフレームと一緒に出した方が割安です。

チャンバーK2tecのステンレス製です。
当初はスチールメッキの他メーカー製チャンバーをお持ち込みになられましたが、
あまり状態がよろしくないので錆びに強いステンレスチャンバーを購入されたわけです。
とても良い音ですよ〜

ステップはコワース製です。

リヤキャリパーはブレンボのラージタイプ、
サポートはワンオフ、
リヤマスターシリンダーは3XVの純正品に換装です。

   

↑ノーマルのブレーキローターはかなり腐食していまして、
さりとてノーマルの新品ローターを購入するのも芸がありません。
今後のメンテを考えた場合、比較的手に入りやすい径のローターを
今のうちにフィッティングできる様にしておきましょうという事で、
φ298サンスターの新品ローターと
60mmピッチのブレンボキャリパーを使う事に決定しました。

マスターシリンダーもブレンボ製に換装です。


   

↑ 少し前にワンオフコーナーにも紹介しましたが
サポートし当店でワンオフしました。

リヤキャリパーはブレンボのラージタイプ、
サポートはワンオフ、
リヤマスターシリンダーは3XVの純正品に換装です。



↑当然スプロケットやチェン、タイヤも新品に交換です。

↑トップブリッジはNプロジェクト製

三又アンダーブラケットやフォークアウターチューブ等も
ブラストペイントしてあります。
ボルト類もできるだけ新品に交換です。


ベアリングやシール&ホース等のゴム類もできるだけ新品に交換してあります。

フォークはインナーチューブ交換を含めたO/Hを行いましたが、
ついでにインナーピストン加工も行いました。

↑タンクさび取りコーティング後です。
撮影前にうっかりガソリンを入れてしまったので
茶色くなっていますが、実際は緑円と同じ仕上がりです。
因みにこのタンクは車両オーナー様自ら1液性の錆び取り剤を使用して施工しておりました。
1液性の錆び取り剤でも、錆び取り効果と防腐効果を謳っている商品がありますが、
現実的な防腐効果はほんの一時だと思います。
このタンクも錆び取り後しばらく放置していただけで
気がつけば取れたはずの錆びがうんと拡大していました。
ので当店で新たに錆び取りする作業はとても困難でした。
タンク内を通るドレンパイプ回りの腐食がかなり進んでいたからです。
最終的にパイプの内側(赤円)からもコーティングして
無事作業を完了する事がてきました。

因みに錆び取りコーティングの工賃は
当店で吟味した原料代も入れて\18000〜\20000くらいです。
ほとんど付きっきりの作業なのでけして割の良い仕事ではありませんが、
レストア作業にはかかせませんので頑張って行っております。
※お客様自身で錆び取りコーティングを試みて
あえなく失敗してしまったタンクに関しましては、
不良コーティング膜を取り除く事ができませんので
再度作業する事はできませんのでご注意ください。


という事でフレーム等の骨格をレストアしながら実用パーツの強化となりました。
新品パーツを多用したのでかなりの金額となりましたが、
これでまた二十年共に歩み楽しめると思えば
一日あたりの費用は缶コーヒー1本分!?
まぁそれが2本分になる可能性もありますけどね(笑)

という事で色々とご注文を頂きありがとうございました!!