CBX1000のカスタムオーダーが入りました。
リヤ2本サスの初期型CBX1000とは異なり、
本来はモノサス!?(名称不明)の後期型ですが完成しましたのでアップします。

↑リヤはすでに仮組み状態ですがフロントは未だノーマルです。
CBX1000はジャッキアップポイントにかなり悩むバイクでした(笑)

↑フィッティングご希望の足回りは
フロントに`93〜 CB1300SF (フォーク径φ43)
リヤスイングアームCB1000SF
リヤホイールCB1300SFです。

  

↑カウル付きで車体も大柄なせいか長くなったアームにも違和感がありません。
CBX1000は重心が低いのか、全重量から判断するより取り回しが軽く感じます。
それにしても6発エンジンの迫力は凄いですね!!

さてまずスイングアームの取り付けですが
CB1000SFのアームは簡単に加工して取り付けられません。
CB750とCBX1000ではピポット幅が異なりますが、
今回も加工は同様です。
↑のパーツは三分割したピポットブッシュ(パイプ)です。
ヤマハ&スズキ車に多い構造に変更させます。
両端のスチール製カラーには硬質クロームメッキ処理が施されています。
加工部の説明は以前カスタムしたCB750F-Zを参照



↑CB1000SFと1300SFではアクスルシャフト径も異なりますので
ベアリングの交換とディスタンスカラーを新規製作しました。




↑トルクロット固定用のステーをアームに溶接します。
アーム側溶接部のアルマイトを、ステーより広い範囲でしっかり落としておきます。
アルマイトが残ったまま溶接すると溶着がイマイチになります。

  

↑市販ローターが採用されていますが直径は1300SFのノーマルと同じです。
1300SFのノーマルブレーキシステムは使用できません。
ので替わりのキャリパーを使用しますが、
ホイールハブとローター外径部との間隔が狭いため、
使えるキャリパーがほとんどありません。
と言いますか当店では写真のキャリパー以外今の所心当たりがありません。
(ヤマハ純正ブレンボを加工して使用します)

サポートはワンオフしました。

※前回も同じキャリパーとの組み合わせで製作した例はありますが
まだ個体差の範囲が確立されていないため
前回のデーターと現物を確認しながらジグから新規で製作しました。

  

↑チェンラインには結構な差があります。
フロントにオフセットスプロケットを使用しつつ、リヤのスプケットハブも削り込みました。
オフセットスプロケットは他車のを流用です。
加工量は企業秘密

当然ハブベアリング内にフィッティングさせるカラーも内径が異なりますので、
写真の様に精密級のスペーサーを製作して圧入しました。

  

↑さて 今回お預かりして悩んだのがリヤサスの2本化です。
モノサスのCBX1000後期型にも、
2本サスに対応するアッパーマウントがフレームに残されていると
車輌オーナー殿からお伺いして安心していたのですが、
マウントボルトがあまりに短く、なにか専用ナットがなければ
お持込になられた2本サスを固定できません。
(因みにサスはカワサキ用です)

そこで六角のロッドからナットを製作しました。
サスを固定すると共に、右側のサイレンサーステーも固定できる様に
ナット内部を加工しております。


   

↑アッパーマウントを外側に振り出す事ができませんので
リヤサスはどうしてもハの字になります。

今回のカワサキ用サスで注意しなくてはならないポイントですが、
エンドアイにはゴムブッシュとカラーが圧入されていますが、
このカラーは不動タイプですので、
本来は↑左写真の緑印し部分にネジが切ってあるタイプに使用するべきものです。
(ある一定以上にマウントが締まらないタイプ)

CB1300SFのマウントにはネジが切ってありませんので
ボルトとナットで固定しましたが、
ナットを締め込みすぎるとマウントが寄ってしまい完全にリジット化してしまいます。
今回のナットはロックタイプなのでほどよい位置で締め込みを止めても
急に外れる事はありませんが、
エンドアイをピロボールタイプに換装してしっかり閉め込む等
今後の対策が必要かと思います。

↑緑印 新設ステー

   

↑今回のオーダーで最も心配したのが
入庫時にすでに製作されていたワンオフマフラーのフィッティングと
アップタイプのサイレンサーや2本サス化によって限られたスペースに
脱着式のタンデムステップを取り付ける事でした。

こればかりは実際にアームの加工をして仮組みしてみないと判りませんが、
それでも行っちゃって下さいという事でしたので
冷や冷やしながら作業を進めさせていただきました。
結果的にアームとサイレンサーの干渉は避けられてホットしました。

またタンデムステップも手持ちのヤマハ車の物を加工し、
フレーム側にもステーを溶接して対応しました。

作業中の注意事項ですが、
チタンマフラーなどは指紋が付いたまま熱を入れるとそのまま表面に残ってしまいますので
素手や油の付いた軍手で触るなどもっての他。
検証のために何度か取り外しするに当たっては
それだけで相当疲労しますよ〜(笑)


   

↑シートカウルを付けるとこんな感じです。

  

↑次にフロントでございます。
ステムシャフトはボルトオンと行きませんのでワンオフしました。


↑ステムの切れ角は緑印を削って対応しますが、
一度に完全な位置だしは出来ず、またステムシャフトを抜いた状態でなければ
正確なフライス加工ができませんので
ダミーシャフトを使って何度も切れ角を確かめながら加工しました。

CBX1000のアッパーカウルは今回初めて手にしましたが
一体式で取り外しにかなり時間がかかりました
(慣れの問題ですね)

キーシリンダーロックのストッパーは
フレームヘッドパイプ側を加工しました。


   

   

↑メーターステーはCB750Fで製作した時と基本構造を同じくしてワンオフ
いわゆる現物合わせです。

   

↑アンダーステムの構造です。


↑ CB1300SFのフロント回りを採用するに当たって問題になるのが
スピードメーターケーブルの取り出しです。
市販のデジタル計を使えば手っ取り早いのですが
そこはやはり個の年代のカスタム車なのでノーマルのメーターに拘りたいわけです。
CB750F用は市販で幾つかラインナップされていますが
CBX1000用に心当たりがないため、
ホンダの純正パーツを流用してステーを造りました。
ケーブルはキャブ周りを迂回してメーターへつながりますが、
市販の延長ケーブルも使用しています。



そして完成。

今回も色々と勉強させて頂きありがとうございます!!
この経験を生かしてまた次も頑張りたいと思います。