↑上は完成状態です。
正確に言いますとまだ細かいパーツのフィッティングが終わっていませんが、
それらは車両オーナー殿のお楽しみという事です(笑)
アームはダイヤモンドコート仕上げです。
フレームを加工せず、3GMのアームを使用するためには、
FJのサスを使用しつつ、リンク本体は新規で製作しなくてはいけないとの事です。
頂いた資料にはワンオフされたリンク本体が掲載されていて、
実際にそれで走行も行っているという事でしたので、
ぶっちゃけそれをまず図面上でコピーする事から始めました。
そしてその図面上で出来上がったリンクの位置関係と、
実際の車両での位置関係を検証したところ、
確かにサスはどこにも干渉しないし、車高的にも特に問題ありません。
ただ、今までの経験から腑に落ちない部分があり、
そのまま本製作に入るのは危険と判断して
まず↓のダミーリンクを製作してアームの動きを確かめる事にしました。
↑10mm厚のプレートに穴を開けてベアリングを圧入したものです。
組み込んでみて驚きました。
車高は適正ですが全く腰が無く、ふわふわ状態です。
「これじゃまともに走れん」
とい言う事で、ここからは資料を無視して当店独自の設計に入る事にしました。
その結果、形状はかなり異なった物になり、
スイングアームのトンネル部も若干加工しなければ
サスと干渉する可能性がある事も判りました。
フレームはあくまでもノン加工で済ませたいという車両オーナー殿のご要望もありますので、
与えられた条件で最善を尽くすしかありません。
↑リンク本体製作のために取り寄せた材料です。
奥のブロックが超々ジュラルミン7075材
そして手前のブロックが加工する際のジクとなる2017材です。
ジクの材料代もバカにならないのでワンオフは高くなります。
↑まず片側半分を加工して、その後ひっくり返してもう半分を仕上げますが、
刃物を自動でバンバン交換できる3次元加工機なんぞ当店にはありませんので、
2次元加工のNCフライスで仕上げるのは一苦労です。
せっかくのジグは削り粉に埋まっていますが、
ひっくり返しても位置だしを容易にするため工夫してあります。
出来上がったリンクを仮組みして動作チェック。
かなり良い感じで動いています。
因みにリンクアーム長は変更して、リヤの車高は高くしてあります。
さてさて スイングアームのフィッティングがひと段落した所で
問題なのがステップやリヤブレーキマスター関連です。
そのままではスイングアーム側面に干渉してしまうため、
車両オーナー殿と色々打ち合わせを行った上で
結局某車両のノーマルステップを流用できないか?
という事になりました。
できれば見た目はノーマルチックな方が良いとの事で、
それでは試してみましょうとなったわけです。
↑まぁアダプターの様なものでしょうか
一先ず型紙を作ってステップのフィッティング位置を打ち合わせします。
↑ そして完成品。
ジュラルミン2017Sにブラックアルマイト処理を施しました。
↑ ハイ 右側です。
マウラーとの接続がまだ終わっていませんが、それほど難しくはないでしょう。
マスターもどこにも干渉しません。
ノーマルのポジションよりも後退しています。
↑ シフトペダルはFJのノーマルが流用可能でした。
(ロッドはワンオフ)
これで一先ず正チェンジを確保できましたが、
シフトペダルの軸部が少し外側に張り出ているので
これからまた他の車種のペダルを流用する等の検討も行ってみるそうです。
以上今回も色々と勉強させて頂きました。
リンク本体やステップ接続プレート等、
すべてのFJの個体差に対応できる物ではありませんが、
これから3GMのアームを流用しようと考えている方の
参考になればと思います。
2007.4.20 追記
リヤブレーキキャリパーをブレンボに換装させるためのサポートの製作を承りました。
キャリパーは通称「カニ」タイプではなく、
パットとピストン径の大きいドカティーOEMタイプです。
通称カニタイプと今回のタイプでは
キャリパー固定ボルトピッチと
キャリパーセンターは同一でしたが、
パット、ピストンの拡大に伴い、
キャリパー本体の形状が微妙に異なります。
サポートの凹部や外周はOEMタイプ専用設計とさせて頂きました。
↑ フローティングではなく、
キャリパーをアーム上部に配置したリジットタイプとなります。
キャリパー外側のアクスルカラーは
サポート本体に圧入タイプとさせて頂きました。