「SDR200にTZ125の倒立フォークをスポークホイール化してフィッティングさせて欲しい」
そんなオーダーでした。

当店ではその様な事例が無く、
検証するための素材も揃っていない事から
当初はスポーク化しないならお引き受けしますとお伝えしたのですが、
車両オーナー様の熱意に押されてトライする事にしました。

そこでまず持ち込まれたのが車両(SDR)と
TZ125のフロント廻りです(ただしホイールは無し)
早速検証したところ
リヤハブは`84辺りのTZ250でOK。
フロントは?
う〜む フォークピッチが狭すぎてなかなか厳しそう。
しかもフォークが短くてこれまた厳しい。
こうなったらある程度のハブに対応できる様に
フォークピッチを広げ、
フォーク長を少しでも稼ぐためにトップブリッジを段つきにした
三又を製作するしかないかぁ....
と車両オーナー様に打診。
潔くOKが出ましたので、設計に取り掛かりました。

 

↑写真では判りづらいですがトップブリッジにはかなり段がついています。
メーターはボルトオンできる様にステー付きです。
素材は2017Sですが、
できるだけ薄めに製作しております。
 
    

↑ステムシャフトは超々ジュラルミン7075+ハードアルマイト仕上げです。

↑フロントハブとローターはTDR用をチョイスしました。
上の写真は仮組みで大体の位置関係を調べているところです。

↑フロントハブはTDR250 リヤハブは`84TZ250
リムはエクセルでフロントが17-2.50 リヤが17-3.00です。
ハブはブラスト後ウレタンペイント済みです。

スポークの張り替えは当店では行いませんので
専門業者にお任せしました。
パーツ代も入れるとかなりの金額になりますね。

   


↑ところがリムを組んでから問題が発生しました。
本来はTZのローターを使用してブレンボのカニキャリパーを使用する予定でしたが、
肝心のローターの手配ができません。
そこでSDRのノーマルローターが使用できる様に
ハブ加工&スペーサーを製作、
そしてキャリパーサポートを製作して対応しました。
ペイント後のハブ加工は平面出しが難しく、
TZのローターボルトのネジ穴にはヘリサート加工がしてあるので、
座面加工時はかなり肝が冷えました。
慎重に慎重に進めて事なきを得ましたが、
同じ加工はもうしたくないですね(笑)


↑ローターを取り付けるとこんな具合です。
TZハブを使用する時に一番問題なのは、
ハブセンターとリムセンターが同一ではない事です。
スポークを張り替えてリムをセットしてもらう場合も、
その辺りの指示か必要です。
RZやSDRの場合は、ハブセンターより右側○mmのところへ
リムをセットしてあげると、
比較的カラー製作やサポート製作が楽になります。

↑TZのリヤアクスルシャフト径とSDRでは異なりますので
今回は写真の様なカラー達を製作してSDRのシャフト径に合わせました。
おっとベアリング間のカラーが抜けてる...

   

↑フロントサポートは写真の様なオフセットタイプです。
当然TZ125とTDRのアクスルシャフト径も異なりますので、
フォークアウターのシャフト通路には高精度のスペーサーを入れ、
その他カラーで調整します↓(これはあくまで左右のアクスルカラー)



↑足回りの段取りがある程度整った所で新たなオーダーが入りました。
フレーム&スイングアームの再メッキと
その他後から手の入りづらい部分のお化粧直しです。
上の写真は外注先から上がってきたところです。
どんな仕上がりになるか不安でしたが
良く仕上げてくれてホットしました。

      

↑エアクリーナーボックやその他のスチールパーツは
当店で個別にブラストしてからウレタンペイントで仕上げました。

↑一先ず足回りと電装の組み込みです。
今回はリム幅から選択して、フロントに110、リヤに130タイヤを選択しましたが、
フロントタイヤが大きく見えすぎてしまうので
100の選択で良かったかもしれません。
前例がない中で製作しておりますのでトライ&エラーとなりますが、
大変申し訳なく思っております。

   

↑フォークの短さが最後まで気になりましたが、
フルボトムさせてもぎりぎり干渉は避けられました。
タイヤサイズを変更すれば更に余裕ができます。
尚今回は足回りとフレーム関係のお化粧直しが主な作業で、
外装ペイントやエンジン廻り、
その他の細かい調整は車両オーナー様の方で行う予定になっております。
実際に走らせて見てから改良すべき点が多々発生するかもしれませんが、
それも楽しみの一つと捕らえて作業を進めるそうです。

      

↑キャリパーは狙ったラインにピッタリ。

   

↑メーターはウレタンブッシュを挟んでフィッティング。

   

サポート、トルクロット、トルクロットステー溶接
すべてワンオフです。



↑リヤスプロケットはアファムに特注して428チェン用を製作して頂きました。

という事で今回は途中で私が入院したりして完成が遅くなりましたが、
個々のパーツに関しては良く仕上がったと思います。
できればこれから外装等が仕上がった状態を拝見したいところですね!!

by TAKU オーナー 2006.6